学びのポイント
●自然軽快する症例もあるが,心臓サルコイドーシスのように致死的となりえる症例もあるため,診断後は重症度の判定を行い,治療導入の必要性について熟慮する必要がある.
▼定義
原因不明の多臓器性肉芽腫性疾患.発病時の臨床症状は多彩であり,肺門縦隔リンパ節,肺,眼,皮膚の罹患頻度が高いが,神経,筋,心,腎,骨,消化器など全身の臓器に罹患しうる.病理学的特徴は「乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫」であり,確定診断のため,肉芽腫を形成する他疾患を除外する必要がある〔第2章→も参照〕.
▼病態
発病要因についてはいまだ詳細にわかっていない.疾患感受性を有する患者に,なんらかの環境要因を契機に,病因となる抗原に対するTh1型細胞免疫反応が起こり,諸臓器に類上皮細胞肉芽腫が形成される.原因物質として,アクネ菌や結核菌などの微生物が有力な候補として挙げられているほか,遺伝要因としてヒト白血球抗原遺伝