診療支援
治療

7 サルコイドーシス
sarcoidosis
佐藤 正大
(徳島大学病院・呼吸器・膠原病内科講師)
西岡 安彦
(徳島大学大学院教授・呼吸器・膠原病内科学)

学びのポイント

●自然軽快する症例もあるが,心臓サルコイドーシスのように致死的となりえる症例もあるため,診断後は重症度の判定を行い,治療導入の必要性について熟慮する必要がある.

▼定義

 原因不明の多臓器性肉芽腫性疾患.発病時の臨床症状は多彩であり,肺門縦隔リンパ節,肺,眼,皮膚の罹患頻度が高いが,神経,筋,心,腎,骨,消化器など全身の臓器に罹患しうる.病理学的特徴は「乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫」であり,確定診断のため,肉芽腫を形成する他疾患を除外する必要がある〔第2章も参照〕.

▼病態

 発病要因についてはいまだ詳細にわかっていない.疾患感受性を有する患者に,なんらかの環境要因を契機に,病因となる抗原に対するTh1型細胞免疫反応が起こり,諸臓器に類上皮細胞肉芽腫が形成される.原因物質として,アクネ菌や結核菌などの微生物が有力な候補として挙げられているほか,遺伝要因としてヒト白血球抗原遺伝子など複数の疾患感受性遺伝子の関与が推定されている.

▼疫学

 2016(平成28)年にわが国では24,279例の報告がなされている.女性に多く,従来,発病年齢は,女性は20歳代と50歳代以降にピークがある二峰性を,男性は20歳代のみにピークがある一峰性を示すとされていた.しかし,最近は男女で若年発症が減少し,高齢者発症の増加がみられている.

▼分類

 サルコイドーシスの症状には「臓器特異的症状」と「臓器非特異的全身症状」とがある.前者は咳・痰・息切れ,眼症状,皮疹,不整脈,神経麻痺,筋肉腫瘤などさまざまな臓器別のものであり,急性発症型と慢性発症型のものがある.後者は,臓器病変とは無関係に起こる発熱,体重減少,疲れ,痛みなどである.このように臨床的特徴がきわめて多彩であるため,呼吸器内科・眼科・皮膚科・循環器内科・神経内科など,それぞれの分野の専門家の診察を要するという,ほかの疾患にはない特殊性を

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