診療支援
治療

8 キャッスルマン病
Castleman disease
正木 康史
(金沢医科大学主任教授・血液免疫内科学)

▼定義

 Castleman(キャッスルマン)らの1956年の報告から始まった,原因不明のリンパ増殖性疾患で,リンパ節腫大,多クローン性高ガンマグロブリン血症,強い炎症反応や貧血などインターロイキン6(IL-6)高値に基づく徴候を呈する.

▼分類

 臨床的には単発性(単中心性Castleman病.unicentric Castleman disease:UCD)と多発性(多中心性Castleman病.multicentric Castleman disease:MCD)に分類される.また,病理組織学的に,硝子血管型(hyaline-vascular type:HV)と形質細胞型(plasma-cell type:PC)および混合型,過剰血管型,形質芽球型に分類される(図13-23)

▼病態

 MCD症例はHIV感染に関連しヒトヘルペスウイルス8(human herpesvirus 8:HHV-8)重複感染者に多いとされていた.HHV-8のウイルス性IL-6発現の結果,高IL-6症候群が発生し,B細胞分化促進から形質細胞増殖と多クローン性高ガンマグロブリン血症が起こり,血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)産生が誘導され血管新生が起こり,骨髄巨核球分化促進から血小板増多が起こる.また,肝臓で急性炎症性蛋白(CRP,フィブリノゲン)などが増加し,肝臓でヘプシジン産生が誘導され消化管の鉄再利用の抑制と網内系の鉄リサイクルの減少の結果,小球性貧血が起こる.

 一方,日本の大部分の症例や欧米の半数程度はHHV-8陰性であるが,高IL-6血症に基づく病態は共通しており,HHV-8陰性MCDを特発性MCD(idiopathic MCD:iMCD)とよぶ.

▼疫学

 わが国の患者数は全国で1,500~1,600人程度と推測されている.

▼診

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