▼定義
乳幼児期から細菌感染症を繰り返す男児で,ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)遺伝子異常により低ガンマグロブリン血症と末梢血B細胞欠損を特徴とする.
▼病態
B細胞は骨髄において造血幹細胞から抗原非依存性に遺伝子再構成を行い,プロB細胞,プレB細胞,未熟B細胞へと分化する.末梢血においては移行B細胞を経て,成熟B細胞へと分化する.成熟ナイーブB細胞から胚中心内で抗原依存性に分化して,メモリーB細胞となり,最終的に免疫グロブリンを産生する形質細胞へと分化する.BTKはプレB細胞受容体およびその下流に存在するシグナル伝達分子であり,骨髄における前駆B細胞分化に必須である.したがって,XLAではプレB細胞以降の分化障害を認め,末梢血B細胞欠損ならびに低ガンマグロブリン血症を呈する.
▼疫学
発症頻度は出生男子20万人に1人程度とされる.わが国でも200例以上の患者が存在する.
▼分類
臨床的にXLAと区別しがたい臨床表現型をとりながら,BTK変異のみつからない症例が少なからず存在する.これには女児例も含まれ,常染色体劣性無ガンマグロブリン血症と称され,その原因遺伝子としてμ重鎖,λ5(IGLL1),Igα(CD79A),Igβ(CD79B),BLNK,PIK3R1などがある.
▼診断
➊臨床症状
胎盤を通じて母親からの移行抗体が消失する生後3か月頃より中耳炎や肺炎などの細菌感染症を反復するようになり,血清免疫グロブリン値の低値によって気づかれる.学童期または思春期に突然の重症細菌感染症を契機に診断されることもあり,成人になって初めて診断される例も少なくない.一般にウイルス感染に対して易感受性はないが,エンテロウイルス感染に対しては易感受性を示す.家族歴(兄弟,母方従兄弟またはおじ)があれば,臨床診断は容易であるが,わが国では家族歴を有するのは約1/3にすぎない.
➋検査所見
血清免疫グ
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