診療支援
治療

2 家族性血球貪食性リンパ組織球症
familial hemophagocytic lymphohistiocytosis(FHL)
和田 泰三
(金沢大学教授・小児科学)

▼定義

 細胞傷害性顆粒やその放出機構の先天的な異常のため,細胞傷害性T細胞やNK細胞の機能不全が起こり,血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis:HLH)を発症する疾患である〔第8章「血球貪食性リンパ組織球症」の項()も参照〕.常染色体劣性遺伝形式を基本とする.

▼病態

 HLHは,高熱,脾腫,汎血球減少,肝障害,凝固異常などを呈し,組織球の増殖と血球貪食像が骨髄,リンパ節,肝臓,脾臓などでみられる症候群である.病態の中心は,細胞傷害性T細胞やマクロファージの異常活性化と過剰な炎症性サイトカイン産生である.HLHは,遺伝的要因による原発性と感染などに続発する二次性に分かれ,原発性HLHの代表的疾患がFHLである.FHLでは,細胞傷害活性の低下によりウイルス感染細胞などが排除されず,細胞傷害性T細胞やマクロファージの異常活性化と高サイトカイ

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