▼毒物の排泄促進
体内に取り込まれた中毒起因物質は,血液中や消化管内から積極的に取り除く必要がある.そこで行われるのが,「活性炭の繰り返し投与」「尿のアルカリ化」「血液浄化法」である.
以前広く行われていた強制利尿(forced diuresis)とは,1時間あたり250~500mLの大量輸液とともに,フロセミド薬などの利尿薬を併用することで中毒起因物質の排泄を促すという考え方である.しかし,この強制利尿は効果がなく,心不全や電解質異常などのリスクがあることから最近では施行されていない.脱水状態にある急性中毒患者に適切な投与量の輸液を行うことがむしろ重要と考えられている.
「活性炭の繰り返し投与」「尿のアルカリ化」「血液浄化法」はその治療原理から,対象となる中毒起因物質の適応を考えて施行しなければならない.本項では治療原理をふまえて解説する.
▼活性炭の繰り返し投与(multiple-dos
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