診療支援
治療

壊死性筋膜炎
Necrotizing fasciitis
岡本 成史
(金沢大学 教授(新学術創成研究機構))

【疾患概念】

 壊死性筋膜炎は,皮下組織,特に筋膜での急速な病原体感染の拡散を伴う生命を脅かす軟部組織感染症である.

【頻度】

 世界における壊死性筋膜炎の発症率は10万例中0.4例程度と低いが,死亡率は20%以上ときわめて高い.

【病態】

 壊死性筋膜炎は,皮膚などにおける切創,虫刺され,注射や軽微な外傷,熱傷などを契機とした患部への病原微生物の感染,もしくは毒素性ショックや敗血症などに付随して発症することが多い.局所的な臨床症状として,四肢,会陰・陰嚢部,腹部における紅斑,広範囲の浮腫,水疱,潰瘍,壊死を認める.また,全身症状として高熱,関節痛,せん妄,ショック,多臓器不全などの症状を呈する.症状の進行はきわめて速く,患部における壊死の急速な拡大と知覚低下を伴うことが多い.

 壊死性筋膜炎の原因となる病原細菌の種類から以下の4つに分類される.

 ①typeⅠ:複数の微生物による混合感染により発症する

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