骨・軟部腫瘍の診断の手順としては,問診と理学所見などの臨床所見,各種画像検査所見および病理組織所見を総合的に判断して行う.侵襲の少ない検査から順に進め,最終的に病理医とよく議論したうえで確定診断を行う.
1.骨腫瘍の診断
【1】臨床所見
患者の年齢,性別,罹患部位,疼痛の有無および程度と経過,外傷歴,家族歴などを参考にする.多くの骨腫瘍はわずかに男性に好発するが,骨巨細胞腫は女性に多い.診断にあたり年齢は重要で,3歳以下に多いのは神経芽細胞腫の骨転移であり,その他良性骨腫瘍および骨肉腫を含む悪性骨腫瘍とも5~30歳ぐらいまでの若年者に多い.中高年に多い骨腫瘍としては転移性骨腫瘍や多発性骨髄腫が最も多く,原発性腫瘍としては軟骨肉腫,脊索腫などが挙げられる.
安静時の疼痛は良性骨腫瘍の場合はないことが多く,骨軟骨腫などの場合は周囲組織との機械的刺激によって運動時の疼痛を生じることがある.病的骨折