【疾患概念】
この名称は腫瘍内に多くみられる破骨細胞様巨細胞に由来する(図5-4a図).良性と悪性の境界に位置する腫瘍(中間悪性腫瘍)であり,臨床的には再発率が高いことや,まれに転移をきたすことが問題となる.
【病態】
骨巨細胞腫は20~40歳代が好発年齢で,20歳代が約40%を占める.一方,15歳以下はまれで,10歳以下にはほとんどみられない.長管骨の骨端に発生するのが特徴的である.発生部位として,大腿骨遠位,脛骨近位,橈骨遠位,上腕骨近位の順に好発するが,脊椎や骨盤にも発生することがある.
腫瘍掻爬のみでは局所再発率が15~50%と高率であり,再発で難治例となることがある.骨巨細胞腫の多くは良性の臨床経過をとるが,まれに肺や骨に転移を認めることもある.
【臨床症状】
局所の腫脹,熱感,疼痛,関節可動域制限,荷重時痛などの非特異的な症状が多い.症状があれば,病的骨折のリスクが迫っていることを念頭におく必要がある.
診断のポイント
診断には単純X線が,最も簡便でかつ有効である.20~40歳代の患者で,長管骨の骨端を中心に偏心性,膨隆性の溶骨性病変を認めたら,骨巨細胞腫を鑑別診断に入れる(図5-4b図).MRIでは病変の広がりを観察できる.T1強調像で低~等信号(図5-4c図),T2強調像では内部の出血や壊死などの二次性変化によって,低~高信号の不均一な像(図5-4d図)を示す.CTでは骨皮質の菲薄化や欠損を観察できる(図5-4e図).骨皮質が完全に消失して,骨外に大きな病変を形成することはまれで,このような症例は悪性腫瘍との鑑別が重要となる.
骨巨細胞腫は20~40歳代に多く,これは骨肉腫の好発年齢と一部重なっており,画像診断で鑑別が困難なことがある.よって,骨巨細胞腫を疑う症例に遭遇した場合は,原則として生検を行い,組織診断を確定する必要がある.
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