診療支援
治療

軟骨肉腫
Chondrosarcoma
中 紀文
(那智勝浦町立温泉病院 副院長〔和歌山県東牟婁郡〕)

【疾患概念】

 腫瘍細胞が軟骨基質を形成する原発性悪性骨腫瘍である.類骨形成を伴う軟骨形成性骨肉腫との鑑別を要する.

【頻度】

 発生頻度は悪性骨腫瘍の10~20%を占め,原発性悪性骨腫瘍のなかでは骨髄腫,骨肉腫に次いで3番目に頻度が高い.発症率はわずかに男性のほうが高い.中高年者に好発し20歳以下ではまれである.

【病態】

 増殖速度は遅く,比較的緩徐な経過をとることが多い.発生部位は骨盤が最も多く,次いで大腿骨,上腕骨,肋骨,肩甲骨に好発する.広範切除が困難な体幹発生例で不適切な切除縁となった場合,再発を生じ予後不良となることが少なくない.

【分類】

 原発性軟骨肉腫のほかに,骨軟骨腫や内軟骨腫から二次性に発生することがあり,特に多発性骨軟骨腫症*1,内軟骨腫症(Ollier病*2,Maffucci症候群*3)では悪性転化のリスクが高い.発生部位から,骨内から発生する中心性軟骨肉腫と骨表面から発生する末梢性軟骨肉腫に分類される.多発性骨軟骨腫症の約5%に末梢性軟骨肉腫を発症する.そのほかにも脱分化型軟骨肉腫,間葉性軟骨肉腫,淡明細胞型軟骨肉腫などの組織亜型がある.

〔補足情報〕

*1:多発性骨軟骨腫症:骨軟骨腫(外骨腫)が全身に多発する常染色体優性遺伝性疾患である.EXT遺伝子の発現欠失が原因と考えられている.

*2:Ollier病:片側性に内軟骨腫が多発する病態とされていたが,両側性のことも少なくない.

*3:Maffucci症候群:多発性の内軟骨腫に血管腫が合併する病態である.

【臨床症状】

 腫瘤,疼痛,病的骨折を主訴とすることが多い.中心性軟骨肉腫では骨皮質の破壊に伴う疼痛を生じる場合が多く,末梢性軟骨肉腫の場合は無痛性の腫瘤増大や運動制限を主訴とすることが少なくない.


問診で聞くべきこと

 二次性軟骨肉腫を疑う場合は,家族歴,発育歴,身長,体重,ADL障害(神経・血管の圧迫症状,関節可動域

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