【疾患概念】
高悪性度の悪性骨腫瘍であり,適切に治療しなければ死に至る.わが国での年間発生例は約40例と非常にまれである.好発年齢は小児から青年期で,この年代では骨肉腫の次に多い悪性骨腫瘍である.全身に発生するが,長管骨の骨幹部や骨盤が好発部位である.疾患特異的な遺伝子異常が報告されているが,発生原因や起源細胞は不明である.画像診断で明らかな遠隔転移を認めなくても,診断時にすでに全身に微小転移が存在すると考えられており,経験のある専門医による集学的治療(化学療法・放射線療法・手術)が必要である.近年の遠隔転移を認めない限局例では,5年生存率は70~80%と報告されている.
問診で聞くべきこと
症状の出現時期や発症要因,発熱,全身倦怠感,体重減少は,悪性骨腫瘍を疑うヒントになる.数週間程度で,誘因なく疼痛や局所の腫脹・熱感を訴えるときは注意が必要である.
必要な検査とその所見
①単純X線:辺縁がはっきりしない骨破壊像(浸潤像や虫食い像)を示す.長管骨発生例では,特徴的な単純X線所見として玉ねぎの皮様(onion-peel)骨膜反応がみられる.
②触診:単純X線で骨折を認めなくても,骨外腫瘍による局所症状として,圧痛,熱感,腫脹を認める.
③MRI:巨大な骨外腫瘍を認めることが多い.造影MRIが望ましい.
④生検術:病理診断.
⑤胸腹部CTや核医学検査(骨シンチグラフィーやPET):全身の遠隔転移の検索.
⑥骨髄穿刺:骨髄播種の検索.
⑦血液・生化学検査:LDHが予後と関連すると報告されている.
診断のポイント
①小児や青年期の患者が原因不明の疼痛を訴え,単純X線で辺縁不明瞭な骨透亮像を認めたときには,悪性骨腫瘍の存在を考える.特に骨膜反応を見逃さないことが重要である.
②単純X線で診断に迷うときは,必ずMRIを行う.1か月の経過観察でも,骨破壊が急激に進行することがある.
③確定診