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トピックス 骨・軟部腫瘍における多施設共同研究
尾﨑 敏文
(岡山大学大学院 教授)

 2018(平成30)年3月に閣議決定された第3期がん対策推進基本計画の分野別施策として,がん予防,がん医療の充実,がんとの共生が挙げられている.そして,がん医療の充実のなかに,希少がんが記載されている.希少がんとは人口10万人あたりの年間発生率が6例未満のものである.骨肉腫の年間国内発生数は200例程度,人口10万人で計算すると約0.16人となる.このように原発性骨・軟部肉腫は典型的な希少がんに属す.

 希少がんは発生数が少ないのはもちろん,対応している施設が全国に分散しているため各施設での症例数も少ない状況である.骨・軟部腫瘍に対する標準的治療の確立には全国規模の多施設共同研究が不可欠である.日本臨床腫瘍グループ(Japan Clinical Oncology Group;JCOG)内の1グループとして骨軟部腫瘍グループが2002年度から活動している.高悪性度非円形細胞軟部肉腫に対する術前術後補助化学療法の第Ⅱ相試験(JCOG0304),骨肉腫に対する化学療法のランダム化第Ⅲ相試験(JCOG0905),悪性軟部腫瘍に対する術前術後化学療法のランダム化第Ⅱ/Ⅲ相試験(JCOG1306)が行われたほか,ドキソルビシン治療後の進行軟部肉腫に対するトラベクテジン,エリブリン,パゾパニブのランダム化第Ⅱ相試験(JCOG1802)が進行中である.また,それらの附随研究を実施している.

 また,日本ユーイング肉腫研究グループ(Japan Ewing Sarcoma Study;JESS)では2005年より小児科医,整形外科医,放射線治療医,病理診断医,その他の専門家が中心となり,わが国で標準的な治療を確立するべく臨床研究を行っている.JESSおよび日本横紋筋肉腫研究グループ(Japan Rhabdomyosarcoma Study Group;JRSG)は日本小児がん研究グループ(Ja

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