診療支援
治療

遅発性脊椎骨端異形成症
Spondyloepiphyseal dysplasia tarda
伊藤 順一
(心身障害児総合医療療育センター 副園長・医務部長〔東京都板橋区〕)

【疾患概念】

 X連鎖性劣性遺伝形式をとる低身長の症候群として1939年にJacobsenが“hereditary osteochondrodystrophia deformans”として1家系を報告し,1971年にBannermanらが,Jacobsenの報告例を再調査してX連鎖性SED tardaとして報告したものが最初の論文である.①X連鎖性劣性遺伝,②5~14歳で認識される低身長,③脊椎の低形成による体幹短縮,④単純X線画像上central humpを伴う椎体の扁平化,⑤大腿骨骨頭および頚部の低形成,⑥他の骨には所見が乏しい,の6項目を特徴とする疾患として記載されている.2019年の骨系統疾患国際分類の改訂では,脊椎・骨端(・骨幹端)異形成症(SE(M)D)に分類されている.正確な発生頻度は不明であるが,日本整形外科学会小児整形外科委員会による骨系統疾患全国登録では,1990~2017年の27年間で17例報告されている.

【臨床症状または病態】

 出生時は異常所見がなく,学童期以降に明らかになる体幹短縮型低身長と,鳩胸変形で樽状の胸郭を特徴とする.腰痛や股関節痛を主訴に初診となることが多い.


問診で聞くべきこと

 発育歴,家族歴(関節疾患の罹患を含めて),身長,四肢長などの臨床症状.


必要な検査とその所見

 ①単純X線所見:椎体の後上下縁が隆起(posterior hump)しており,成人期になると終板の骨硬化および椎間腔の狭小化がみられる(図7-21).大腿骨近位部は低形成と股関節の変形性変化がみられる.

 ②遺伝子診断:遺伝学的には,X連鎖性劣性遺伝形式をとり,X染色体短腕(Xp22)に位置するSEDL遺伝子の変異が同定されている.


鑑別診断で想起すべき疾患

 SED congenita,multiple epiphyseal dysplasia,chondroplasia,Mo

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