診療支援
治療

異軟骨骨症(Leri-Weill)
Dyschondrosteosis (Leri-Weill)
関 敦仁
(国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部 統括部長〔東京都世田谷区〕)

【疾患概念】

 中間肢(前腕や下腿)短縮型の低身長を呈する疾患で,SHOX遺伝子異常に起因する.思春期に低身長と手関節や肘の変形が顕著となる(図7-23).その頃に運動時痛や運動制限を訴えることがあるが,20歳を過ぎる頃にはやや軽減する.

【臨床症状】

 低身長は思春期以降さらに顕著となる.手関節変形については,橈骨遠位端成長軟骨の掌尺側部が早期に閉鎖することから,橈骨の弯曲が増大し,橈骨遠位端の傾斜角が増大する.また,それにつれて手根骨は掌尺側に亜脱臼を呈し,尺骨頭は背側に突出する(Madelung変形).肘関節変形は,橈骨全体が尺骨に比して短縮することにより,外反肘を呈する.手関節部の変形による神経症状出現や,高齢者では伸筋腱断裂の報告がある.


必要な検査とその所見

‍ 上肢の単純X線・CT:橈骨の弯曲と短縮,橈骨遠位端尺側傾斜角・掌側傾斜角の増大,下肢全長単純X線像で下腿の相対的短縮をみる(図7-23).

‍ 遺伝子検査:X染色体上のSHOX遺伝子解析による微小欠失などを確認する.


鑑別診断で想起すべき疾患

 ①特発性Madelung変形:前腕から手関節にかけての変形は同様であるが,必ずしも低身長ではない.片側性の場合もある.

 ②橈骨骨端線早期閉鎖:外傷や骨髄炎のあとで発生する.

 ③Turner症候群:45,Xを代表とする性染色体異常症.

 ④Langer症候群:SHOX異常症の1つ.橈骨と尺骨がともに重度の短縮と変形を呈する.


診断のポイント

 ①両側Madelung変形や外反肘の存在:単純X線や3DCTが有効である.

 ②-3SDから-2SDの低身長:幼少時から低身長を認めるが思春期に顕著となる.


専門病院へのコンサルテーション

 手関節や肘関節部の動揺性,運動時痛,運動制限の訴えがあれば紹介受診を勧める.低身長については,成長期であれば小児科(内分泌)を紹介する.


治療方針

 上肢について

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