【疾患概念】
ムコ脂質症は,ムコ多糖代謝異常症(ムコ多糖症)と糖脂質代謝異常症(スフィンゴリピドーシス)の双方の症状を呈する先天代謝異常症として命名された.ムコ脂質症Ⅱ型(ML2)およびⅢ型(ML3)の原因は,細胞内で生成されたリソソーム酵素に糖鎖修飾を行う,N-アセチルグルコサミン-1-リン酸基転移酵素の活性欠損もしくは低下である.糖鎖修飾をされないリソソーム酵素は,リソソーム内に取り込まれることができないため,結果的にリソソーム内ではほとんどのリソソーム酵素が欠乏した状態となり,未分解の糖脂質や糖蛋白が過剰蓄積する.従来は臨床症状から重症型をMLⅡ,軽症型をMLⅢと分類していたが,近年,原因遺伝子の解明により,重症度と遺伝子変異を組み合わせて命名することが提唱されている.またMLⅡは培養線維芽細胞の細胞質に多数の封入体(inclusion body)が認められたことから,inclusi