【概説】
整形外科診療で診る可能性のある神経筋疾患(脊髄前角,末梢神経,神経筋接合部,筋を病巣とする疾患群)に関する検査法について概説する.神経筋疾患の診断では臨床経過と診察による評価に加え,血液検査,電気生理学的検査,骨格筋画像検査といった非侵襲的な検査で鑑別診断を絞り込む.そのうえで,遺伝子検査または筋生検での病理診断により確定診断を行う.
1.血液検査
血液検査で最も重要な項目は筋逸脱酵素で,代表的な項目がクレアチンキナーゼ(creatine kinase;CK)である.特に筋ジストロフィーや筋炎で高値を示す.それ以外にも先天性ミオパシーやミトコンドリア病でも高値を示すこともあるが,その程度は前者に比して軽度のことが多い.CK高値の程度は疾患により異なる傾向があり,例えばDuchenne型筋ジストロフィーでは,診断,診療を受ける年齢の乳幼児期では10,000U/L以上,Becker型筋