【疾患概念】
通常主幹動脈といえば大動脈からの一次分枝のことを指すが,ここでは整形外科領域の末梢循環における主幹動脈として,四肢の動脈を中心に述べる.これらの動脈の損傷は,外的衝撃や手術操作によるものを念頭におく.いわゆる救急外傷においては,①鈍的衝撃による血管破綻(解離・閉塞),②弾痕などによる血管損傷,③骨折に伴う血管損傷,④刺傷による血管損傷などに分けられる.手術操作では,血管の牽引などによる解離は①に,鋭利な刃物などによる術中出血は④にあたる.③に関して,動脈損傷を伴いやすい整形外科的損傷を表9-1図に挙げる.民間の(非軍事)動脈損傷の割合に関しては図9-1図のような報告がある.
【臨床症状】
動脈損傷はhard sign(確実)としての,拍動性出血・thrillの触知・損傷部位より末梢の拍動消失・血腫の膨大,そしてsoft sign(疑い)として,出血を示唆するデータ(Hbの低下な