【疾患概念】
Raynaud現象は,寒冷曝露や精神的緊張により誘発される手指の3相性の色調変化のことで,典型的には白(虚血)→紫(チアノーゼ)→赤(再疎通)の変化を示す.臨床的には,2相以上の色調変化があればRaynaud現象とみなす.中手指節関節より遠位に明確な境界として出現することが多く,特に中央の3本の指で頻度が高い.血管攣縮の持続は15分以内のことがほとんどで,同時に冷えや痛みを自覚する場合がある.時に足趾,耳介,鼻でも観察される.出現頻度,持続時間ともに冬季に悪化するが,夏季でも空調の効いた部屋や冷蔵庫に手を入れた際など,温度変化により誘発される.Raynaud現象を呈する疾患群をRaynaud症候群とよび,基礎疾患を伴う場合は二次性,原因が明らかでない原発性をRaynaud病とよぶ.
【頻度】
一般集団でみられるRaynaud現象の頻度は3~5%とされている.そのうち90%以上は