【疾患概念】
下腿に生じる難治性潰瘍は,主に虚血性潰瘍と静脈性潰瘍に分類される.虚血性潰瘍は,末梢動脈疾患(peripheral arterial disease;PAD)による血流障害が原因で生じる.なかでも,Fontaine分類ⅢとⅣやRutherford分類4~6群に相当する重症虚血肢(critical limb ischemia;CLI)は安静時疼痛や潰瘍・壊疽を伴うPADの終末像である.静脈性潰瘍は,表在静脈と深部静脈,そしてそれらの静脈の間に介在する交通枝である穿通枝のいずれか,もしくは複数の弁不全による静脈高血圧が原因で生じる.
【臨床症状】
虚血性潰瘍は,糖尿病,高血圧,脂質異常症,甲状腺機能低下など動脈硬化疾患を併発していることが多く,潰瘍が生じるところまで進行すると安静時疼痛を認め,治療が遅れると重症化し下肢切断を余儀なくされる.静脈性潰瘍は,下腿に限局した浮腫,皮膚炎,