神経・筋疾患のリハビリテーション治療はその病態別に①Parkinson病,脊髄小脳変性症などの中枢神経変性疾患,②amyotrophic lateral sclerosis(ALS),post-polio syndrome(PPS)などの運動ニューロン疾患,③Guillain-Barré症候群,慢性脱髄性多発ニューロパシーなどの多発ニューロパシー(polyneuropathy),④筋ジストロフィー,筋炎などの筋疾患の4つに大別される.
1.中枢神経変性疾患
【1】Parkinson病
中脳黒質のドパミン作動性神経の変性により起こり,進行性である.振戦,固縮,寡動・動作緩慢を特徴とする.運動障害としてのすくみ足や姿勢調節障害・姿勢異常によるバランス障害がADLを阻害する.
(1)評価
Hoehn&Yahr分類,MDS-UPDRSが用いられる.運動機能の評価にはtimed up and go(TUG)test,10m歩行速度やバランス機能の評価としてBerg balance scale(BBS),Mini-BESTestが用いられる.
(2)リハビリテーション治療
関節可動域訓練,筋力増強訓練,バランス訓練,歩行訓練などの基本的リハビリテーション治療を行う.Parkinson病患者の姿勢異常としては胸椎下部からの後弯(camptocormia),骨盤後傾,股関節屈曲,膝関節屈曲,頚部前屈(drop head)を認めやすい.姿勢異常と姿勢調節障害,関節の固縮によりバランス障害をきたす.また脊椎後弯,頚部前屈により誤嚥をきたしやすくなり,また腹筋群の筋力低下により咳嗽力の低下を認め,進行例では誤嚥性肺炎をきたしやすくなるので,体幹の可動域訓練や筋力訓練などは早期からホームプログラムで行うようにする.バランス障害とともにすくみ足(frozen gait)は,転倒の大きなリスクとなる.すくみ