診療支援
治療

限局型腱滑膜巨細胞腫 (腱鞘巨細胞腫)
Tenosynovial giant cell tumor, localized type, Giant cell tumor of tendon sheath, Nodular tenosynovitis
西田 淳
(東京医科大学 教授)

【疾患概念】

 2013年のWHO分類では,軟部組織のいわゆる線維組織球系腫瘍の1つに分類されている.腱鞘あるいは指節間(interphalangeal;IP)関節と密接に関係して発生することが多い.WHOの正式名称はtenosynovial giant cell tumor, localized type(腱滑膜巨細胞腫,限局型)であるが,日本整形外科学会整形外科学用語集および日本手外科学会用語集にはWHO分類で同義語として記載されているgiant cell tumor of tendon sheath(腱鞘巨細胞腫),nodular tenosynovitis(結節性腱鞘炎)が記載されている.WHO分類に準じて,今後わが国でも疾患名が変更される可能性がある.手に発生する軟部腫瘍としては最多である.

 Tenosynovial giant cell tumor, diffuse type(同義語:diffuse type tenosynovial giant cell tumor, pigmented villonodular synovitis, pigmented villonodular tenosynovitis)とは臨床像,生物学的態度が異なるとされているが,両疾患とも1番染色体のcolony stimulating factor 1 (CSF1) geneの転座によりCSF1が過剰に発現し,CSF1 receptorを持った細胞が集簇して腫瘤が形成され発症するとされている.

【臨床症状と病態】

 手の腫瘤としては,ガングリオンに次いで多い.30~50歳に好発し,女性に多い.母指,示指,中指に好発するとされる.病変は硬く分葉状を呈し,可動性が不良で,疼痛や圧痛は認めないことが多い.緩徐に増大し,患者は数年来腫瘤を自覚していることが多い.


診断のポイント

(1)単純Ⅹ線像

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