【概説】
頚部痛,上肢痛は日常診療において比較的頻度の高い愁訴である.一方で,原因が多因子であることが多いため,初診の段階で確定診断がつかないこともまれではない.大半の症例では,日常生活に深刻な影響を及ぼさないが,なかには重篤な疾患が潜んでいる場合もあり注意が必要である.
診断において重要なポイントは,疾患の頻度を念頭に置き,症状の強さや神経学的所見などを参考に,必要な検査を進めていくことと,まれながら重篤な障害を引き起こす疾患を見逃さないことである.例えば頚椎症やいわゆる肩こりなどは,頻度は高いものの検査所見は非特異的で,症状はself-limitedなことも多い.一方で,感染や腫瘍性病変に代表されるred flagに分類されるような疾患は頻度が低いものの,決して見逃してはならず,症例に応じて検査を迅速に行っていくことが重要である.
まずは①十分な問診を行い,②神経学的所見を含めた詳細な