【疾患概念】
(1)頚性頭痛(頚原性頭痛)
骨性,筋性,および血管を含む他の軟部組織要素を含む頚部疾患や外傷による頭痛.骨性の頚性頭痛のメカニズムは頚椎(特に上位頚椎)の解剖学的異常(脱臼や骨折,腫瘍,椎間関節の狭小化と骨棘形成)により関連痛として頭痛が生じる場合と第2頚髄神経根の圧迫による大後頭神経痛がある.筋性の頚性頭痛では,僧帽筋や胸鎖乳突筋の筋疲労や筋膜の炎症の際に,これらの頭蓋骨の筋付着部(筋起始部)の痛みが生じることがある.頚部筋肉の筋疲労や炎症の原因として頚椎の変性(生理的弯曲の消失,椎間板高の減少)や外傷も挙げられる.また,僧帽筋腱膜を通過して皮下組織に神経線維を伸ばす大後頭神経が,筋性に圧迫され頭痛が生じることもある.その他の軟部組織を原因とするメカニズムでは,椎骨動脈の解離や頚部の回旋で椎骨動脈が閉塞することにより生じる頭痛,頚部膿瘍の頭側への進展で起こる頭痛などがある.