【疾患概念】
外傷や循環障害を起点として,筋膜に囲まれたコンパートメント内の組織内圧上昇による微小循環障害に伴い発生する,筋・神経の障害である.筋体の壊死は6~8時間で不可逆な状態となることから,早期に対応しなければ著しい機能障害につながる.なお脛骨骨幹部骨折の2.7~15.6%に合併するとも言われ,開放骨折でも起こりうる.
【臨床症状】
症状としては5P〔Pulselessness(脈拍消失,減弱),Pallor(蒼白),Pain(疼痛),Paresthesia(感覚異常),Paralysis(麻痺)〕であるといわれるが,5Pすべてを認めた時点では手遅れである.臨床症状としては初期に患肢の著しい腫脹を認め,鎮痛薬が効かない激痛を認める.次第にコンパートメント内の神経に一致した知覚障害を認めるようになり,末期には末梢動脈の拍動の減弱または消失,麻痺をみる.著しい腫脹と激痛をみた時点で,本症を