1.診断のポイント
足関節・足部の変形と痛みをきたす疾患を知ること,疼痛の部位を詳細に評価すること,変形の特徴を知ること,これらができれば診断はほとんどの場合可能である.
乳児期にみられる変形は,先天性内反足,内転足,垂直距骨,外反踵足,巨趾症,合趾症,多趾症がある.
幼児期では,小児期扁平足,思春期では腓骨筋痙性扁平足がある.足根骨癒合症が腓骨筋痙性扁平足の原因となることが多い.癒合症では足部,特に距骨下関節の回内外運動制限が認められる.
成人期では,変形性足関節症,成人期扁平足,外反母趾,強剛母趾,内反小趾,ハンマー足趾変形などがあり,視診,触診で診断は比較的容易である.
全身疾患に足の変形が生じることがあるので注意する.糖尿病ではCharcot footとよばれる神経病性関節症を呈することがある.関節リウマチでは足趾変形(扁平三角状変形)が多く,歩行障害からサルコペニアの原因になり得る.Chopart関節病変は疼痛が強いが,見逃されやすい.麻痺足では,凹足,尖足,足趾変形など弛緩性・痙性麻痺に特徴的な変形が生じる.神経学的所見が重要である.
2.症候の診かた
足関節・足部の診察では圧痛点が正確に評価できれば,約8割は診断可能である.疼痛と腫脹の部位を詳細に捉える.足底の胼胝の有無と部位を評価する.
変形は立たせて,歩かせてみて,初めて明らかになる場合がある.必ず,健側と比較する.後足部,中足部,前足部に分けて観察する.踵接地や足底接地の様子,土踏まずの有無,後足部では踵骨の内・外反,前足部では母趾とそれ以外の外側趾変形と関節拘縮の有無を評価する.
下腿三頭筋-アキレス腱のタイトネスを評価する.さらに,足部自体の可撓性(柔らかさ),特に踵骨内・外反やChopart関節での内・外転,回内・外運動を評価する.
3.検査と所見の読み方
単純X線撮影では,非荷重時では足根骨の位置異
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