診療支援
治療

痛風の足部障害
The foot problems caused by gout
金城 聖一
(かねしろ整形外科リウマチクリニック 院長〔大阪府寝屋川市〕)

【疾患概念】

 痛風の関節炎は,体液中で飽和した尿酸ナトリウム塩結晶が関節および関節周囲組織へ沈着し,結晶が関節腔内へ剥落することにより生じる関節炎である.多くは急性発症であるため痛風発作とよばれ,主として下肢関節に単関節炎として生じる.痛風発作は特に足部に好発し,母趾中足趾(metatarsophalangeal;MTP)関節や他の足趾,足関節,足根部に多くみられる.足部のように末梢で体温が低く,かつ運動量が多い部分では,尿酸の溶解度が下がって結晶化しやすく,さらに物理的負荷により関節炎が惹起されやすいと考えられている.原因が明らかでなく,特に男性で足部に急性単関節炎を生じた場合にはこの疾患を常に念頭に置く.

【痛風関節炎のメカニズム】

 痛風関節炎は,尿酸塩結晶が自然免疫機構を介したインターロイキン(IL)-1前駆体産生亢進と,貪食により細胞内に取り込まれた尿酸塩結晶によるNLR family, pyrin domain containing 3(NLRP3)インフラマソーム活性により,IL-1βの産生・分泌されることによって関節炎を発症する.IL-1βは関節内の滑膜細胞に作用しケモカインの産生を誘導し,ケモカインの働きによって好中球などの炎症性細胞が関節腔に集積し,さらに炎症反応が拡大することにより痛風関節炎のような強い関節炎が起こる.

【頻度】

 痛風による足部関節炎の頻度はさまざまな報告があるが,母趾MTP関節60~80%,中足部20%,足関節15%程度と考えられている.

 初回発作の約80%は単関節炎である.痛風の初期に多関節が罹患する頻度は20%以下であるが,発作を繰り返すうちに多関節炎の頻度は増える.


問診で聞くべきこと

 発作前に約50%の症例で前兆を自覚し,6~12時間後に発作が始まる.発作は通常24時間以内に極期を迎え,3~4日後には漸減し自然に寛解する.これら一連の

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