診療支援
診断

間欠性跛行
Intermittent Claudication
栗田 正
(帝京大学ちば総合医療センター脳神経内科・教授)

診断のチェックポイント

定義:以下の3つの条件が必要である。

❶歩行中に下肢に痛み,しびれ,筋の疲労または脱力が出現し,跛行となり歩行の持続が困難になる。

❷短時間の休憩で下肢の症状は消失し,再び歩行が可能になる。

❸歩行再開後,再び下肢に同様な症状が出現して歩行困難になるが,休憩により再度症状は消失する。

 本症候は下肢の末梢動脈疾患(血管性)に起因するものが多いが,一部に腰部脊柱管狭窄症(馬尾性),脊髄の動静脈奇形や動脈硬化(脊髄性),股関節疾患などに起因するものがあり鑑別を要する。

【1】病歴

❶下肢の症状が現れるまでの歩行時間(または距離)と回復に必要な休憩時間(間欠性跛行の確認)

❷歩行中に現れる下肢の症状

痛み:血管性,馬尾性。

しびれ:馬尾性,脊髄性。

筋疲労・脱力:馬尾性,脊髄性。

❸休憩中の姿勢(坐位,前屈位:馬尾性)

❹喫煙歴(血管性)

❺既往歴

高血圧,糖尿病,脂質異常症(血管性)。

虚血性心疾患(血管性)。

脊椎疾患(馬尾性,脊髄性)。

【2】身体所見:診察前に十分に歩行させ,下肢の症状が現れたところで診察する。

❶足部の皮膚の色調,皮膚温(血管性)

❷下肢の動脈拍動(血管性)

❸下肢の神経学的診察

下肢の筋力(馬尾性,脊髄性)。

下肢の感覚(馬尾性,脊髄性)。

下肢の腱反射,病的反射(馬尾性,脊髄性)。

ラセーグ(Lasègue)徴候(馬尾性)。

【3】検査:問診と診察で末梢動脈性のものか,脊椎・脊髄性のものかを判断し,検査計画を立てる。

❶末梢動脈疾患が疑われる場合

足関節上腕血圧比(ankle brachial pressure index:ABI)。

下肢動脈MRA。

下肢動脈超音波検査。

❷脊椎・脊髄性疾患が疑われる場合

腰椎単純X線撮影。

下位胸椎腰椎MRI。

原因疾患と頻度

 間欠性跛行の原因の大半は末梢動脈疾患によるものとされており,全人口の0.5~10%,65歳以上の高

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