緊急処置
【1】球麻痺の主症状の1つは嚥下障害であり,誤嚥による気道異物,下気道感染などの呼吸器障害を招来していることも多く,迅速かつ適切な呼吸管理処置が必要となる。
【2】特に,窒息の可能性がある場合は可及的すみやかな気道確保の緊急対応が必須であるとともに,不顕性感染を含めた誤嚥性肺炎の併発が疑われる場合には,まずは感染症検索と治療を先行させることが重要である。
診断のチェックポイント
●定義
❶球麻痺とは
■狭義と広義:球麻痺の狭義は,脳幹の球部,すなわち延髄に位置する下位脳神経である舌咽神経,迷走神経,副神経(延髄部起始の内側枝),舌下神経の核性および核下性障害に起因する軟口蓋・咽頭後壁,喉頭ならびに舌の両側性運動障害である。しかし多くは顔面神経や三叉神経運動枝の障害も併存しており,広義にはこれらによる口唇,咀嚼筋の運動障害も含まれる。
■偽(仮)性球麻痺:上記に対して,大脳皮質から延髄に至る錐体