診断のチェックポイント
●定義
❶錐体外路は,随意運動系の出力である錐体路すなわち皮質脊髄路に対して間接的に影響を与え,必要な運動のタイミングおよび出力量を調節していると考えられる。
❷そこにかかわる解剖学的部位は大脳基底核で,線条体,淡蒼球,視床下核と黒質であり,大脳基底核を中心としたループとして視床と大脳皮質が関与する。
❸この錐体外路には以下の3つの主な経路が推定されており,促進系,抑制系の双方から随意運動の調整がなされている。
■直接路:D1受容体を介して淡蒼球内節,黒質網様体部に投射する経路。
■間接路:D2受容体を介して淡蒼球外節に投射し,その後,視床下核を経由して淡蒼球内節,黒質網様体部に投射する経路。
■ハイパー直接路:大脳皮質から視床下核を経由して淡蒼球内節,黒質網様体部に投射する経路。
❹錐体外路症状という概念はこの大脳皮質-基底核ループに生じる障害で,結果として運動減少,運動過多の症状を示す。
【1】病歴
❶運動減少症状
■運動緩慢はすばやく反復する動作が障害されることが多く,書字や箸の使用,歯磨き,洗顔,洗髪,皿洗い,包丁の使用や卵を溶く動作などのしにくさで気づくことが多い。
■進行すると起き上がり,立ち上がりの動作が緩慢となり,歩行もゆっくりになる。
■動作そのものが減少し,表情が乏しく,瞬目の減少,発語量の減少がみられる。
■立位あるいは坐位の姿勢で前屈位をとり,時に側屈位が加わることがある。極端な前屈位をとる場合があり,頸部の前屈を首下がり,腰部の前屈をcamptocormiaとよぶ。
■筋の緊張が亢進して筋のこわばりや筋痛がみられ,腰痛や股関節痛,肩痛が初発症状として出現することもある。
■発症様式に注意を払い,慢性なのか急性に発症したのかを確認する。
■脳卒中の既往や抗精神病薬の内服歴などにも注意する。
❷運動過多症状
■不随意運動の性状,すなわち振戦やミオクローヌス,舞踏様運
関連リンク
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