診療支援
診断

無気肺
Atelectasis
桑野 和善
(東京慈恵会医科大学主任教授・呼吸器内科)

診断のチェックポイント

定義:無気肺は,肺胞内の空気が減少したことにより肺容積が減少することをいう。無気肺と虚脱はほぼ同意語で使用されるが,虚脱は完全な無気肺に対して使用される。

【1】病歴

❶臨床所見:原因疾患およびその病期によって異なる。

❷主訴:発熱,咳嗽,血痰,気道狭窄による呼吸困難,喘鳴などである。

【2】身体所見

❶片肺の無気肺:聴診にて呼吸音の減弱と打診にて濁音を認める。

❷肺葉性の無気肺:他の肺葉が代償性に膨張するため呼吸音の減弱は認めにくい。

【3】検査:胸部X線写真とCTによって診断する。

❶直接所見:葉間裂の偏位,気管支・血管の集束,濃度上昇に伴う血管陰影の不明瞭化など,含気の減少そのものによる所見である。

❷間接所見:虚脱した肺葉内に生じた水腫,気管支分泌物の貯留,腫瘍,肺炎の合併などさまざまな因子による肺野濃度の上昇や,胸腔内圧低下を代償する横隔膜挙上,縦隔偏位,肺門偏位,肋間腔狭

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