診療支援
診断

代謝性意識障害
Metabolic Causes of Consciousness Disturbance
櫻井 淳
(日本大学准教授・救急医学系救急集中治療医学分野)

 正確な頻度は不明であるが,決してまれではない。

診断のポイント

【1】続発性のため適切な対処により神経学的転帰は良好であることが多いが,対応が遅れると致死的になることがあるので見逃さないようにする。

【2】重篤な疾患の先駆症状の場合があるため,まずは生命の危機があるかの鑑別が重要である。バイタルサインやpoint of care testing(POCT:ベッドサイドで可能で比較的早く結果が出て治療に影響を与える検査)で表1について迅速に調べる。

【3】片麻痺や瞳孔不同といった片側の神経学的異常を呈することは少ない。

【4】意識障害の程度は比較的軽度でもすでに重症化しており急変する可能性があるので注意が必要である。

【5】背景疾患・病態には表2のようなものがある。

緊急対応の判断基準

 意識障害があるなら重篤な疾患である可能性が考えられるため,まずは緊急性を判断し,その後画像診断や一般的な検査を行い,最後に特殊検査を行うという手順となり,代謝性意識障害を含めた意識障害疾患が診断されていく。

【1】最初にバイタルサインなどで気道(A:air way),呼吸(B:breathing),循環(C:circulation)をチェックして異常があれば直ちに処置を行う。

【2】簡単な病歴や患者の第一印象から,重症度が高そうな場合はすぐに採血を行い,POCTで高二酸化炭素血症,貧血,電解質異常,血糖異常などをチェックする。

【3】神経学的所見で脳ヘルニア徴候(瞳孔不同など)があればABCを安定化させてすぐに頭部CT撮影を考慮する。

【4】緊急性が否定できたら,医療面接や身体診察を行い臓器不全,血糖異常,内分泌異常,遺伝性代謝異常などの疾患に関し臨床推論を行い頭部CT・MRIなどの画像診断,採血・尿検査,髄液検査などの必要な検査を行う。

検査所見とその読みかた

【1】バイタルサイン(血圧,脈拍,体温,呼吸数,S

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