診療支援
診断

くも膜下出血
Subarachnoid Hemorrhage
糟谷 英俊
(東京女子医科大学東医療センター脳神経外科・教授)

診断のポイント

【1】突然発症の頭痛で,発症時一時的に意識消失を伴うこともある。

【2】これまでに感じたことのない頭痛が発症後持続する。

【3】頭痛は嘔気を伴う。

【4】重症例では突然の意識障害で発症する(多くは直前に頭痛を訴える)。

緊急対応の判断基準

【1】再出血を起こして重篤になる可能性があるため,くも膜下出血は常に救急対応疾患である。

【2】画像で確定診断した場合:静脈確保し,再出血を防ぐため,鎮静・鎮痛・降圧を行う。

【3】自施設では治療が困難な場合:すみやかに転送する。

症候の診かた

【1】発症時から続く,これまでに感じたことのない頭痛とそれに伴う嘔気・嘔吐。

【2】脳内出血を伴わない限り巣症状を伴わない。

【3】突然発症の意識障害。

【4】項部硬直(発症間もない場合や軽症の場合はないこともある)。

検査所見とその読みかた

【1】CTあるいはMRIでほぼ100%確定診断が可能。

【2】くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤を3D-CTアンギオグラフィ(CTA)あるいはMRアンギオグラフィ(MRA)で確認する(図1)。

確定診断の決め手

【1】突然発症の頭痛・意識障害。

【2】画像診断によるくも膜下出血の有無。

【3】くも膜下出血の原因である脳動脈瘤の存在。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】緊張性頭痛

❶病歴をよく聴くこと。

❷画像で確認する。

【2】脳内出血・(非外傷性)硬膜下血腫()。

❶画像で,くも膜下腔に出血があるかをよくみる。

❷出血に一致した脳動脈瘤を確認。

【3】椎骨動脈解離性動脈瘤()

❶頭痛発症の場合発症形式が似ている。

❷CT・MRIで鑑別可能。

確定診断がつかないとき試みること

【1】CTで診断できない場合:MRI T2*強調あるいはFLAIRを使う(図2)。

【2】出血が少量あるいは発症から時間が経っている場合:くも膜下出血が脳槽から消失して画像診断が難しいことがある。くも膜下出血の原因である脳

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