診断のポイント
【1】急速進行性の認知症(典型例)。
【2】MRI拡散強調画像で大脳皮質と基底核の高信号。
【3】ミオクローヌス。
【4】脳波の周期性同期性放電。
【5】髄液中の14-3-3蛋白陽性。
症候の診かた
プリオン病の分類と症候の特徴を表1図に示す。
【1】急速進行性の認知症
❶およそ数か月以内で意思疎通がとれなくなるほど急速に進行する認知症で発症する。
❷病型によっては比較的緩徐に進行する例もある。
【2】ミオクローヌス
❶瞬間的,電撃的に比較的広範囲(片側上肢,片側下肢,体幹など)の筋肉が収縮する。
❷患者の意識は保たれる。
【3】無動性無言
❶自発的な運動や発語がない状態のことであるが,睡眠・覚醒のリズムがあり,覚醒時には目をあけ,嚥下運動や逃避反射はあり,追視ではないが,目で人や物を追うことはある。
❷ミオクローヌスやけいれん発作を伴っていてもよい。
検査所見とその読みかた
【1】画像検査
❶MRI拡散強調画像の高信号
■大脳皮質に沿ってまだら状にリボン状の高信号病変が認められる。FLAIR画像でも認めることがある。
■左右差があり,高信号病変が強い側の基底核から高信号を呈するようになる(図1a図)。
■大脳皮質のリボン状の高信号はてんかん発作,低酸素血症性脳症,脳梗塞,自己免疫性脳炎などでも認められる所見なので,鑑別に際しては注意が必要である。
❷視床枕の高信号
■変異型CJD(Creutzfeldt-Jakob病)に多くみられ,ほかの病型でもときどき認められる。
■拡散強調画像やFLAIR画像で視床枕に高信号を認める(視床枕徴候:pulvinar sign)(図1c図)。
■視床内側にも高信号を認める場合もある。
❸脳波における周期性同期性放電
■0.5~2.0Hz程度の一定の周期で,両側性に規則的に反復する全般性の左右同期性の突発性の棘波あるいは徐波が出現する(図2図)。
■病型ごとに感度,特異度は異なる
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