診療支援
診断

神経Behçet病
††
Neuro-Behcet Disease
久永 欣哉
(国立病院機構宮城病院・副院長)

診断のポイント

【1】運動症状が中心で感覚障害が目立たない。

【2】頭部MRIで上部脳幹,大脳基底核などに脳炎像。

【3】粘膜・皮膚症状(口腔内アフタ,結節性紅斑様皮疹,外陰部潰瘍など)の併発または既往。

【4】ヒト白血球型抗原(HLA)-B51陽性,髄液インターロイキン-6(IL-6)の増加。

【5】精神症状,運動失調,構音障害などの緩徐進行(慢性進行型)。

症候の診かた

【1】口腔内アフタ性潰瘍:多発性,再発性で大型。

【2】外陰部潰瘍:激痛性の深い潰瘍。

【3】結節性紅斑様皮疹:四肢,特に下腿前面に対称性に好発する有痛性皮下硬結。

【4】痤瘡様皮疹・毛囊炎様皮疹,皮下表在性血栓性静脈炎などもみられる。

【5】眼症状:虹彩毛様体炎または網膜ぶどう膜炎。発作を繰り返すと失明の危険がある。

【6】脳炎:上部脳幹,大脳基底核などに好発。中心症状は錐体路症状や失調症状で,感覚障害は目立たない。ほかに頭痛,眼球運動障害,顔面神経麻痺,眼振などもみられる。

【7】精神症状:認知機能障害,うつ症状,多幸症,遂行機能障害などがみられる。

【8】精神症状,運動失調,構音障害などが緩徐に進行することがある(約10~30%,慢性進行型)。男性に多く(90%以上),喫煙者に多い(90%以上)。

検査所見とその読みかた

【1】頭部MRI:T2強調画像やFLAIR像で上記の好発部位に高信号が認められ,活動期には造影剤により増強される。異常所見は回復期には消退することが多い。慢性進行型では上部脳幹・小脳などの萎縮が目立つ。

【2】髄液検査:細胞増加は約半数の症例で認められ,細胞数が6.2/μL以上(感度約97%,特異度約97%)が目安とされる。オリゴクローナルバンド陽性例はまれである。IL-6も増加し,特に慢性進行型では17pg/mL以上の高値(感度約92%,特異度約95%)を2週間以上示す。

【3】血液検査:血沈の亢進,CRP上昇,

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