診断のポイント
それぞれの神経の単独の障害症状を認める。圧迫性機序による単ニューロパチーは他項〔手根管症候群(→)など〕を参照。
【1】Bell麻痺
❶一側の顔面神経障害。
❷急性発症。
❸他の神経障害を認めない。
【2】動眼神経麻痺
❶一側の動眼神経障害。
❷他の神経障害を認めない。
緊急対応の判断基準
【1】動眼神経麻痺
❶瞳孔散大を伴う一側動眼神経障害を認めた場合:内頸動脈-後交通動脈分岐部(internal carotid-posterior communicating:IC-PC)動脈瘤の可能性があるため可及的すみやかに頭部MRI,MR アンギオグラフィ(MRA)などで確認する。
❷意識障害を認める患者に一側動眼神経障害を認めた場合:脳ヘルニア(鉤ヘルニア;側頭葉の鉤が天幕切痕から脱出して中脳を圧迫する脳ヘルニア)あるいはIC-PC動脈瘤に伴うくも膜下出血の可能性を考え,直ちに頭部CTで確認する。
症候の診かた
【1】Bell麻痺
❶一側顔面筋麻痺:顔の歪み,洗顔時に目がしみる,口から空気が漏れて話しにくい,食事の際に口角から液体が漏れる,などの自覚症状を認める。一側の眼輪筋,口輪筋および前頭筋麻痺を認める。
❷味覚障害:患側の舌前3分の2の味覚低下を伴うことがある。
❸聴覚過敏:患側の聴覚過敏を伴うことがある。
❹疼痛:発症前後に患側の側頭部~耳後部の痛みを自覚することが多い。
【2】動眼神経麻痺
❶一側外眼筋麻痺:一側の動眼神経支配筋麻痺(外転以外の眼球運動制限,複視)を認める。外直筋は正常なため,眼位が外転位になる。意識障害患者では,頭位変換眼球反射を用いて麻痺を確認してもよい。ただし,頸椎損傷や椎骨動脈解離を否定できない場合には施行しない。
❷眼瞼下垂:患側の眼瞼下垂を認める。
❸瞳孔散大・対光反射減弱~消失:患側で散瞳(瞳孔径5mm以上)・対光反射減弱~消失を認める。ただし,糖尿病性動眼神経麻痺
関連リンク
- 今日の診断指針 第8版/圧迫性ニューロパチー(手根管症候群を含む)
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