診療支援
診断

てんかん
Epilepsy
赤松 直樹
(福岡山王病院脳神経内科/国際医療福祉大学教授・脳神経内科)

診断のポイント

【1】5分以内の一過性の症状をきたす発作。

【2】同じ発作症状を繰り返す。

【3】発作症状は,前兆(アウラ)のみから全身けいれんまで多彩である。

【4】発作間欠期脳波でてんかん性放電(棘波,鋭波,棘徐波複合)を認める。

【5】てんかん重積状態では5分以上発作が持続する。

緊急対応の判断基準

【1】てんかん重積状態は緊急対応が必要である。全身けいれん発作が5分以上持続する場合はけいれん性てんかん重積状態である。

【2】初発てんかん発作の場合は,原因が判明するまでは緊急対応を行う。

症候の診かた

 発作分類別の症状の例を表1に示す。

【1】焦点発作:意識保持発作と意識減損発作に大別する。

❶運動発作:身体の一部が筋けいれんをきたす。Jacksonian marchは筋けいれんが手→腕→肩などと広がっていく。

❷感覚発作:身体の一部に,びりびりする,しびれるといった体性感覚が生じる。

後頭葉では視覚発作をきたす。

聴覚野が焦点の発作では幻聴をきたす。

特殊感覚発作には金属の味などの味覚発作,焦げたにおいなどの嗅覚発作がある。

❸自律神経発作:上腹部不快感,嘔気,嘔吐,腹痛,発汗,立毛,頻脈,徐脈などの自律神経症状をきたす。

❹感情発作:既視感,未視感,恐怖感,離人感など。

❺焦点意識減損発作:意識が障害されているので患者は発作中に話しかけても応答はできず,発作後に発作中のことを覚えていない。

発作持続時間は通常1~3分である。

発作中には衣服をまさぐる,口をぺちゃくちゃと鳴らすといった,自動症(automatism)がみられる。

❻両側強直間代発作進展:焦点発作に続いて強直間代発作に進展する。

【2】全般発作

❶欠神発作:突然動作が止まる,ボーっとして1点凝視するという発作。

持続時間は数秒~30秒である。15秒以下が多い。

軽度の自動症を伴うことがある。

❷強直間代発作:突然の全身の筋の強直けいれん

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