診療支援
診断

三叉神経・自律神経性頭痛
Trigeminal Autonomic Cephalalgias (TACs)
今井 昇
(静岡赤十字病院・脳神経内科部長)

診断のポイント

【1】症状:一側の眼窩部,眼窩上部,側頭部を中心とする重度の頭痛発作に,同側の結膜充血,流涙,鼻漏,鼻閉などの頭部自律神経症状を伴う患者は,三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)を疑う。

【2】分類:TACsには群発頭痛,発作性片側頭痛,短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(short-lasting unilateral neuralgiform headache attacks:SUNHA),持続性片側頭痛が含まれ,発作の持続時間とインドメタシンの効果から診断する。

【3】発作の持続時間:群発頭痛が15分~3時間,発作性片側頭痛が2~30分,SUNHAが1秒~10分,持続性片側頭痛が3か月以上である。発作持続時間が重複している部分は,インドメタシンが著効すれば発作性片側頭痛と,無効であれば群発頭痛またはSUNHAと診断する。

【4】群発頭痛:喫煙者に多く,20~40歳台の男性に好発し,飲酒で発作が誘発される。頭痛発作は決まった時間,特に深夜に起こることが多く,激烈な痛みのため就寝中に覚醒する。

症候の診かた

【1】発作の頻度:群発頭痛は1回/2日~8回/日で,群発期とよばれる発作出現期間は通常1~2か月である。発作性片側頭痛は5回/日以上,SUNHAは1回/日以上で,通常群発頭痛より頻回に出現する。

【2】頭部自律神経症状:結膜充血,流涙,鼻閉,鼻漏のほかに,眼瞼浮腫,前頭部・顔面の発汗,縮瞳,眼瞼下垂が含まれる。自律神経症状の有無が不明瞭な場合は家族に確認するか,発作時の写真を撮影させて確認する。

検査所見とその読みかた

【1】TACsの検査の目的は他疾患の除外にあり,初回発作であれば頭部MRIでくも膜下出血や脳動脈解離などの緊急性の高い器質的疾患を鑑別する。

【2】血管による三叉神経の圧迫が原因の症候性SUNHAが報告されており,MRIを撮影する際はスライス幅を薄くする,FI

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?