診断のポイント
【1】胃食道逆流症(GERD):食道炎のうち最も頻度が高く,内視鏡検査で下部食道に粘膜傷害を認めるびらん性GERD(逆流性食道炎)と認めない非びらん性GERD(non-erosive reflux disease:NERD)に分けられる。一方,食道炎・食道潰瘍には逆流症と異なる原因によるものもある。
❶主に食後にみられる胸やけや呑酸が定型的な症状。
❷前屈,臥位で増悪。
❸円背のある高齢者や肥満者に多い。
❹定型的な症状以外にも胸痛や咽喉頭違和感などがみられる。
❺食道裂孔ヘルニアはリスク因子となる。
【2】食道裂孔ヘルニア:食道裂孔から縦隔内に胃腸管が脱出した状態で滑脱型,傍食道型,混合型に分けられる。
❶多くは無症状である。
❷内視鏡や上部消化管造影検査で偶然に発見されることが多い。
❸滑脱型はGERD症状がみられ,傍食道型は圧迫症状が出現する。
緊急対応の判断基準
【1】胸骨裏面の強い痛み:潰瘍の穿孔などが考えられる。
【2】嚥下障害:潰瘍による狭窄,アカラシア,悪性疾患(食道腺癌)などを考える。
【3】吐・下血や貧血:潰瘍出血,Mallory-Weiss症候群,悪性疾患などを疑う。
症候の診かた
【1】胸やけ,呑酸などの症状がある患者に対して問診票などを用いて臨床評価を行い,必要に応じて内視鏡検査を施行する〔「胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015」〕。
【2】内視鏡未施行の場合:プロトンポンプ阻害薬(PPI)テスト(PPI投与後の症状改善を確認)などにより臨床評価する。
【3】GERDの食道外症状として,慢性咳嗽,喘息,咽喉頭違和感,咽頭痛,非心臓性胸痛などがあるため注意が必要である。
検査所見とその読みかた
【1】上部消化管内視鏡検査:食道胃接合部の粘膜傷害の有無(ロサンゼルス分類)(図1図),Barrett粘膜やヘルニアの確認を行う。生検を行うことで感染症や好酸球性疾患,悪
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