診断のポイント
【1】急性胃炎
❶外的要因,例えば非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)内服などにより,胃粘膜に急性びらんなど炎症性変化が生じる状態である。
❷炎症が高度の場合には,上部消化管内視鏡検査(内視鏡)で多発性潰瘍や顕性出血を認める急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal lesion:AGML)となる。
【2】慢性胃炎
❶胃粘膜に慢性的に好中球浸潤・単核球浸潤を主体とした炎症が継続する状態である。
❷胃粘膜萎縮が徐々に進展する。
❸最も大きな原因はHelicobacter pylori(Hp)感染である。Hp感染胃炎の有病率は,誕生年が1960年以前の高齢世代では50%以上と高いが,1980年代以降では著明に低下し,現在の10歳代では5%以下まで低下している。
❹自己免疫性胃炎(A型胃炎)では胃底腺領域の高度胃粘膜萎縮がみられる。
❺機能性ディスペプシアと区別すべきである。
緊急対応の判断基準
吐下血を伴うAGMLでは,緊急内視鏡による止血処置や入院管理が必要となることがある。
症候の診かた
急性胃炎,慢性胃炎ともに,自他覚症状のみでは確定診断に至らないことが多く,内視鏡を中心とする画像検査が必要である。
【1】急性胃炎
❶自覚症状:心窩部痛,悪心・嘔吐,上腹部膨満感などが急に出現する。AGMLでは吐下血を伴うこともある。
❷身体所見:上腹部に圧痛を認めることが多い。
【2】慢性胃炎
❶自覚症状:上腹部もたれ感,上腹部痛,悪心・嘔吐,食欲不振などが慢性的に継続し,あるいは,断続的に出現する。一方で,自覚症状がほとんどない症例もある。
❷身体所見:上腹部に圧痛を認めることも認めないこともある。
検査所見とその読みかた
内視鏡が中心となる。
【1】急性胃炎
❶内視鏡で粘膜の発赤,びらん,浮腫,出血などを胃全体に,あるいは局所的に認める。
❷AGML
■内視鏡で強い浮腫や出血性びらん,多発性の
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