診療支援
診断

腸結核・腸管Behçet病
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Intestinal Tuberculosis, Intestinal Behcet Disease
江﨑 幹宏
(佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部・診療教授)

診断のポイント

【1】分類

❶腸結核:肺結核の有無により原発性と続発性に分類され,近年は続発性腸結核が再び増加傾向にある。

❷腸管Behçet病:完全型ないし不全型Behçet病で腸管病変を伴う場合,腸管Behçet病に分類される。

【2】病変:いずれの疾患も回盲部が好発部位である。

❶腸結核:輪状・帯状潰瘍が典型的で,治癒期には瘢痕萎縮帯や腸管変形をきたす。

❷腸管Behçet病:回盲部の類円形の深掘れ潰瘍が定型病変とされるが,消化管全体にアフタや小潰瘍が出現するものもある。

【3】診断

❶腸結核:病変部組織中に結核菌を証明するか,乾酪性肉芽腫を認めれば診断が確定するが,結核菌を同定できないことも多い。インターフェロンγ遊離試験(IGRA)が補助診断法として有用である。

❷腸管Behçet病:特異的な病理所見はない。

症候の診かた

【1】腹痛(右下腹部が多い),発熱,体重減少,腹部膨満,倦怠感,食欲不振など多彩な症状を呈する。下痢は比較的少ない。

【2】腸結核:感染リスク(結核の既往,結核患者への曝露,免疫抑制状態,悪性疾患など)の有無を確認する。

【3】腸管Behçet病:主症状である口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍,眼症状,皮膚症状,外陰部潰瘍の有無を確認する。また,関節炎,血管病変,神経病変,精巣上体(副睾丸)炎などの副症状の有無も確認する。

検査所見とその読みかた

【1】血液検査

❶腸管Behçet病では白血球数増加,赤沈亢進,CRP高値など比較的高度の炎症所見をみることが多いが,腸結核では炎症所見は軽微なことが多い。

❷腸結核ではIGRAの有用性が高いが,感染後陽性化するまでに8~10週かかる。

❸Behçet病では約半数でHLA-B51が陽性となるが,腸管Behçet病ではHLA-B51の陽性率はやや低い。HLA-A26陽性Behçet病では腸管Behçet病が多い傾向にある。

【2】X線・内視鏡検査

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