診療支援
診断

直腸肛門周囲膿瘍
Periproctal Abscess
福島 浩平
(東北大学大学院教授・分子病態外科学)

診断のポイント

【1】膿瘍の確認:膿瘍形成部位が浅ければ,局所所見により比較的容易に診断できる。深部膿瘍の場合は局所所見に乏しい場合もあり,画像診断(CT,MRI)を要する

【2】膿瘍の部位(広がり)の把握

❶肛門周囲皮下膿瘍

❷粘膜下膿瘍

❸低位および高位筋間膿瘍

❹坐骨直腸窩膿瘍

❺骨盤直腸窩膿瘍

❻腟,尿道への病変波及の可能性

【3】原因の同定:痔瘻からの進展のほかに外傷(手術も含む),異物などがある。

【4】合併症の有無:炎症性腸疾患(Crohn病,潰瘍性大腸炎),結核,糖尿病,白血病など。

症候の診かた

【1】膿瘍形成が表層の場合は,肛門部局所所見(腫脹,発赤,疼痛,圧痛)を把握する。

【2】局所所見に乏しく,発熱,排便痛,排便困難,直腸肛門部違和感などを訴える際には深部膿瘍を疑う

【3】全身性合併症の有無は,治療方針や経過にも影響することからきわめて重要であり,問診を十分行う。

検査所見とその読みかた

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