診療支援
診断

血管Behçet病
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Vasculo-Behcet Disease
松本 拓也
(国際医療福祉大学主任教授・血管外科学講座)

診断のポイント

【1】完全型:以下の4つの主症状で診断される。

❶口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍。

❷皮膚症状:結節性紅斑様皮疹,皮下の血栓性静脈炎,毛囊炎様皮疹,痤瘡様皮疹。

❸眼症状:虹彩毛様体炎,網膜ぶどう膜炎。

❹外陰部潰瘍。

【2】不完全型:以下のいずれかで診断される。

❶経過中に【1】の主症状のうち3項目が出現したもの。

❷主症状のうち2項目と,下記の副症状〔1)変形や硬直を伴わない関節炎,2)精巣上体(副睾丸)炎,3)回盲部潰瘍で代表される消化器病変,4)血管病変,5)中等度以上の中枢神経病変〕のうち2項目が出現したもの。

❸経過中に定型的眼症状とその他の主症状のうち1項目,あるいは副症状のうち2項目が出現したもの。

【3】血管(型)Behçet病型:完全型または不全型の基準を満たし,動脈瘤,動脈閉塞,深部静脈血栓症,肺塞栓のいずれかの病変を伴う場合を血管(型)Behçet病型と定義する。

緊急対応の判断基準

 通常の血管外科疾患の動脈瘤,動脈閉塞,深部静脈血栓症,肺塞栓に準じた対応を行う。

【1】動脈瘤:破裂の危険性,動脈塞栓症の危険性が高ければ準緊急で手術する。

【2】急性動脈閉塞症:緊急で血行再建を考慮する。

【3】深部静脈血栓症,肺塞栓:可及的すみやかに抗凝固療法を行う。

症候の診かた

【1】動脈瘤:拍動性の腫瘤,破裂した場合は仮性瘤の形態をとるため疼痛を伴う。

【2】動脈塞栓症:下肢の冷感,しびれ,跛行,疼痛などの虚血症状を認める。

【3】深部静脈血栓症:下肢の浮腫を認める。

【4】下大静脈閉塞:側副血行路となる表在性静脈拡張などを認める。

【5】上大静脈において:顔面,上肢の浮腫,頸静脈,側頭静脈の怒張,起坐呼吸,失神発作などの上大静脈症候群を呈する。

検査所見とその読みかた

【1】検査所見に特異的なものはないが,凝固能の亢進や,フィブリノゲン増加を認めることがある。

【2】HLA-B51抗原が,

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