診療支援
診断

胸部大動脈瘤
Thoracic Aortic Aneurysm
熊谷 紀一郎
(東北大学病院心臓血管外科・講師)

診断のポイント

 胸部大動脈瘤は,大動脈が局所的または広範囲に拡大したもの,あるいは局所的に突出したものである。

【1】基本的に無症状に経過し,胸部単純写真や他疾患精査のための胸部CTで偶然に発見される場合が多い。

【2】高齢,男性,生活習慣病が危険因子。

【3】胸背部痛は(切迫)破裂の徴候。

緊急対応の判断基準

【1】胸背部痛を訴えた場合は,(切迫)破裂の場合があるため,手術可能な施設へ移送を考慮する。

【2】(切迫)破裂の場合,血圧を適切に管理しつつ緊急搬送する。

症候の診かた

【1】胸背部痛:(切迫)破裂を疑う。

【2】嗄声:弓部大動脈瘤による反回神経麻痺。

【3】吐下血,喀血:破裂による大動脈食道瘻,気道への穿破のため生じる。

【4】播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC):大動脈瘤が広範囲であり内部に壁在血栓を伴っている場合。

【5】

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?