診断のポイント
【1】30歳以下の男性,スポーツ選手に多く発症。
【2】突然の下腿の間欠性跛行。
【3】足関節の他動的背屈や能動的底屈によって足関節の脈拍が消失。
【4】両側性が38%。
【5】静脈の捕捉も伴うと下腿の静脈うっ滞症状も伴う。
症候の診かた
【1】下腿間欠性跛行:若年男性の下腿間欠性跛行をみれば当疾患を疑う。
【2】足関節の脈拍:足関節の他動的背屈および能動的底屈での脈拍低下,消失が認められる。
【3】浮腫,静脈瘤:上記とともに下腿の静脈うっ滞症状を伴うこともある。
検査所見とその読みかた
【1】CT,MRI:膝窩部で腓腹筋内側頭付着異常または異常筋腹の存在を認める。造影CTでは膝関節部での動脈の内側偏位を伴い,動脈狭窄,動脈瘤が認められることもある。また足関節部の他動的背屈および能動的底屈状態でCTを撮影すると異常筋束により動脈が圧排,狭窄,閉塞をみることもある。
【2】超音波検査:足関節の他動的背屈および能動的底屈で膝窩動脈にジェット血流が認められる,または収縮期最大流速の上昇,低下がある。
【3】足関節上腕血圧比(ankle-brachial pressure index:ABI):やはり足関節の他動的背屈および能動的底屈でABIの有意な低下を認める。
確定診断の決め手
【1】若年,スポーツ選手での発症。
【2】足関節の他動的背屈および能動的底屈での足部血流低下。
【3】CT・MRIでの膝窩動脈の偏位,その部の異常筋束の存在。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】閉塞性動脈硬化症(→)
❶高齢者に多い。
❷びまん性病変。
❸動脈硬化危険因子の存在。
【2】膝窩動脈瘤
❶囊状瘤の形成。
❷末梢への塞栓症。
【3】膝窩動脈外膜囊腫:CT・MRI,超音波検査にて動脈壁内の囊腫の存在。
❶腰痛の存在。
❷安静時しびれの存在。
❸大腿部,殿部への症状放散。
【5】脛
関連リンク
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