診断のポイント
【1】下肢表在静脈の拡張・蛇行(図1図)。
【2】エコー検査で表在静脈の弁不全を認める。
【3】下腿の重苦しさ,だるさ,浮腫が立位作業時や午後~夕方に起こる。
【4】危険因子(経産婦,家族歴,長時間の立位作業)をもつ。
緊急対応の判断基準
受診2週間以内に出現した高度な浮腫を認める場合は,深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)を合併している可能性がある。緊急のエコー検査あるいはCTを行う。
症候の診かた
【1】見苦しさ,美容上の問題:最も多い。
【2】下腿の重苦しさ,だるさ:立位の作業後や午後~夕方に増悪する。歩行時に増悪する場合は,脊柱管狭窄症,閉塞性動脈硬化症による間欠性跛行を疑う。
【3】下腿浮腫:午後~夕方に増悪する下腿遠位側の圧痕性浮腫(pitting edema)。両側性の場合は,廃用性あるいは全身疾患による浮腫を疑う。
【4】こむら返り:就寝中,明け方に起こる。加齢や脊柱管狭窄症でも起こるため鑑別診断は難しい。
検査所見とその読みかた
【1】エコー検査:duplex scanあるいはカラードプラ法にて表在静脈に弁不全を認める。
【2】3D-CT:拡張・蛇行した表在静脈がみられる。弁不全の診断ができないので,エコー検査と併用する。
【3】Trendelenburg検査,静脈撮影:最近ではほとんど行われない。
【4】血液検査:表在性血栓性静脈炎およびDVTの急性期にDダイマー高値がみられる。
確定診断の決め手
【1】立位で拡張・蛇行した下肢表在静脈。
【2】エコー検査による静脈弁不全の存在。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】蜂窩織炎
❶下腿の全周性発赤。
❷発熱,CRP高値。
❸エコー検査で表在静脈内に血栓を認めない。
【2】リンパ浮腫(→)
❶非圧痕性浮腫。
❷足背に達する浮腫。
❸婦人科系悪性腫瘍手術後。
【3】静脈奇形
❶従来は海綿状血管腫とよばれていた。
❷エコー
関連リンク
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