診療支援
診断

IgA腎症・紫斑病性腎炎(IgA血管炎)
IgA Nephropathy and Purpura Nephritis (IgA Vasculitis)
鈴木 祐介
(順天堂大学大学院教授・腎臓内科)

診断のポイント

【1】IgA腎症

❶無症状のため,血尿あるいは蛋白尿などの尿所見異常が発見動機となることが多い。

❷上気道感染後や胃腸炎などののちしばらくしてから,肉眼的血尿を契機に発見されることもある。

【2】紫斑病性腎炎(IgA血管炎)

❶紫斑の出現のほか,関節痛,消化器症状などの自覚症状を伴うことから発見されやすく,さらに尿所見異常を伴えば本症を強く疑う。

❷腎炎を伴ういわゆる紫斑病性腎炎はIgA血管炎全体の20~60%とされる。

❸IgA腎症同様に,感染が発症,増悪機転となる。

症候の診かた

【1】IgA腎症

❶自他覚症状がないままに経過することが多く,まれに併発するネフローゼ症候群による浮腫が発見動機となることもある。

❷[診断のポイント]で述べた肉眼的血尿を合併するIgA腎症は,全体の30%程度とされる。

【2】紫斑病性腎炎(IgA血管炎):紫斑(下肢を中心に,上肢や臀部にも隆起を触れるpalpable purpura)に伴い,関節炎(腫脹を伴わないことが多い),多彩な消化器症状(腹痛,嘔吐,下痢,虫垂炎に似た臍周囲の疼痛,血便),腎炎(肉眼的血尿)などの多臓器にわたる血管炎に伴う自覚症状がある。

検査所見とその読みかた

 血清IgAが高値(315mg/dL以上)を示す症例は全体の3分の1程度であるが,血清IgA/C3比が3以上であることは,血尿,蛋白尿とともにIgA腎症を疑う有用な所見である。

確定診断の決め手

【1】IgA腎症,IgA血管炎ともに腎生検病理組織診断で確定診断する。

【2】組織学的所見:必須所見は,免疫組織学的(蛍光抗体法あるいは酵素抗体法)に,糸球体メサンギウム領域を中心にIgAが優位に局在することである。IgG,IgMならびに補体C3も染色される。

【3】光学顕微鏡所見:メサンギウム細胞の増殖,メサンギウム基質の増加・拡大を特徴とする。

【4】電子顕微鏡所見:傍メサンギウム領域

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