診断のポイント
【1】治療抵抗性高血圧。
【2】年齢,性別,病変部位による基礎疾患の把握。
【3】腹部血管雑音。
【4】腎サイズの左右差(片側性RVHの場合)。
【5】原因が明確でない腎不全,うっ血性心不全の背景疾患。
症候の診かた
【1】高血圧
❶若年発症,重症・治療抵抗性高血圧,高齢者で急激に発症・増悪する場合などは必ず鑑別診断に挙げる。
❷粥状硬化症は,50歳以上の男性に多く,線維筋性異形成や高安動脈炎は主に若い女性から中年の女性に多くみられる。
【2】腹部血管雑音:連続性または収縮期のみの高調性雑音が約50%で聴取できる。
【3】眼底所見:高度の高血圧性の眼底変化がみられることが多い。
検査所見とその読みかた
【1】スクリーニング検査
❶血漿レニン活性(PRA)高値,低カリウム血症(二次性アルドステロン症)がみられる。
❷PRAは片側性腎動脈狭窄では上昇することが多いが,臨床経過の長い場合や両側性腎動脈狭窄では正常値をとることも多い。
【2】超音波検査:超音波ドプラ法は非侵襲的で,最初に施行すべき検査である。Peak systolic velocityを指標にすると感度も特異度も高い。
【3】造影CT
❶Multi-detector CTを使用すると,感度,特異度とも90%を超える。腎動脈が複数本ある亜型の場合でも詳細な情報が得られる。
❷腎機能が低下している患者における造影剤使用は,事前に十分な輸液をするなど,注意して行う。
【4】MRA:ガドリニウム造影すると感度・特異度とも高い場合や,腎機能は低下している場合(特にeGFR 30mL/分/1.73m2未満のとき)は腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis:NSF)の危険性があるので避ける。
【5】腎動脈造影
❶侵襲が大きい検査であるが,血管形成術の適応を決める際には選択的腎動脈造影を行う。
❷デジタルサブトラクション血管