診療支援
診断

血友病・後天性血友病A
††
Hemophilia,Acquired Hemophilia A
天野 景裕
(東京医科大学教授・臨床検査医学分野)

[Ⅰ]血友病

診断のポイント

【1】先天性血液凝固因子低下による出血傾向。

【2】X連鎖劣性遺伝疾患であり,主に男性に発生する。

【3】関節内出血が特徴的な出血症状。

緊急対応の判断基準

【1】頭蓋内出血,腹腔内出血,消化管出血,腸腰筋出血,コンパートメント症候群が疑われる重症出血では,血液凝固の専門家が診療する医療機関に緊急転送する。

【2】転送する前に,血液凝固因子製剤を十分量補充することが望ましい。

症候の診かた

【1】主な出血の種類と好発年齢を図1に示す。

【2】乳児期後半頃より軽微な打撲による皮下出血が反復して出現し,幼児期以降は関節内出血(図2)や筋肉内出血などの深部出血が多くみられるようになるのが特徴的である。

【3】慢性的に関節内出血を繰り返すと,関節変形と拘縮を生じ血友病性関節症となる(図3)。

検査所見とその読みかた

【1】スクリーニング検査:出血時間や血小板数,プロトロンビン時間(PT)

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