[Ⅰ]血友病
診断のポイント
【1】先天性血液凝固因子低下による出血傾向。
【2】X連鎖劣性遺伝疾患であり,主に男性に発生する。
【3】関節内出血が特徴的な出血症状。
緊急対応の判断基準
【1】頭蓋内出血,腹腔内出血,消化管出血,腸腰筋出血,コンパートメント症候群が疑われる重症出血では,血液凝固の専門家が診療する医療機関に緊急転送する。
【2】転送する前に,血液凝固因子製剤を十分量補充することが望ましい。
症候の診かた
【1】主な出血の種類と好発年齢を図1図に示す。
【2】乳児期後半頃より軽微な打撲による皮下出血が反復して出現し,幼児期以降は関節内出血(図2図)や筋肉内出血などの深部出血が多くみられるようになるのが特徴的である。
【3】慢性的に関節内出血を繰り返すと,関節変形と拘縮を生じ血友病性関節症となる(図3図)。
検査所見とその読みかた
【1】スクリーニング検査:出血時間や血小板数,プロトロンビン時間(PT)
関連リンク
- 今日の治療指針2024年版/血友病(von Willebrand病などの遺伝性凝固異常症を含む)
- 臨床検査データブック 2023-2024/活性化部分トロンボプラスチン時間〔APTT〕 [保] 29点
- 臨床検査データブック 2023-2024/凝固因子活性検査 第ⅩⅢ因子 [保] 223点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/von Willebrand病
- 新臨床内科学 第10版/【3】血友病
- 新臨床内科学 第10版/【4】後天性血友病A
- 新臨床内科学 第10版/【6】その他の先天性凝固因子欠乏症
- 新臨床内科学 第10版/【2】プロテインC欠乏症,プロテインS欠乏症
- 今日の小児治療指針 第17版/血友病