診断のポイント
【1】小児から高齢者まで発症するが,年齢中央値は55~60歳。
【2】原因:誰にでも生じ得る造血幹細胞のフィラデルフィア(Ph)染色体転座。
【3】検診や定期検査で偶然指摘された好中球主体の白血球増多。
【4】末梢血白血球分画で好塩基球が必ず認められる。
【5】末梢血好中球FISH法などでBCR-ABL融合遺伝子を証明する。
症候の診かた
【1】無症状:慢性期はほぼ無症状である。
【2】消化性潰瘍:ヒスタミンによる消化性潰瘍の合併に注意する。
【3】脾腫・肝種大:晩期慢性期で発症の場合には髄外造血による脾腫・肝種大を認めることがある。
検査所見とその読みかた
【1】末梢血検査
❶末梢血における白血球増加が受診のきっかけとなる。
❷白血球の分画で好中球主体の増加であることを確認する。また「白血病裂孔」を認めず,顆粒球系細胞の分化段階(骨髄芽球,前骨髄球,骨髄球,後骨髄球,杆状核球そして分葉核球)がすべて認められることもある。
❸さらに白血球分画に好塩基球が必ず認められる。好塩基球が末梢血に認められないCMLはない。
【2】好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコア:末梢血NAP染色を行い,慢性期では染色陽性率が著しく低下している。
【3】骨髄検査:骨髄における骨髄系細胞の著しい増殖を認める。慢性期の骨髄芽球は<10%である。後に述べる骨髄血を用いた染色体検査(Gバンド法)を同時に行う。
確定診断の決め手
【1】骨髄染色体検査:骨髄染色体分析Gバンド法でPh染色体(9番染色体と22番染色体の相互転座)を証明する。まれに3つ以上の染色体がかかわる転座のためPh染色体がマスクされ,偽陰性となることがあり注意を要する。
【2】末梢血好中球FISH法(図1図)
❶BCR-ABL融合遺伝子を証明する。骨髄Ph染色体が構造的にマスクされ,Ph染色体が検出不能なCMLでもFISH法ではBCR遺伝子とABL遺伝子の
関連リンク
- 臨床検査データブック 2023-2024/major BCR::ABL1 mRNA定量 [保] 2,520点
- 臨床検査データブック 2023-2024/minor BCR::ABL1 mRNA定量 [保] 2,520点
- 臨床検査データブック 2023-2024/F1P1L1::PDGFRA融合遺伝子検査 [保] 3,105点
- 臨床検査データブック 2023-2024/FLT3遺伝子検査 [保] 4,200点
- 臨床検査データブック 2023-2024/造血器腫瘍遺伝子検査《キメラmRNA定性》 [保] 2,100点
- 臨床検査データブック 2023-2024/赤血球・好中球表面抗原検査 [保] 320点
- 臨床検査データブック 2023-2024/MYCN遺伝子《N-myc遺伝子》 [保]* 2,553点
- 臨床検査データブック 2023-2024/ALK融合蛋白 [保] 2,700点
- 新臨床内科学 第10版/【6】急性骨髄性白血病
- 新臨床内科学 第10版/【9】慢性骨髄性白血病
- 新臨床内科学 第10版/【10】慢性リンパ性白血病