診断のポイント
【1】好発年齢は20歳台と50~60歳台で,二峰性にピークがある。
【2】若年発症の場合は前縦隔腫瘤を認めることが多い(約60%)。
【3】頸部~鎖骨上窩~腋窩などのように連続的なリンパ節腫脹を伴うことが多い。
【4】血液検査では白血球増多,CRP上昇,赤沈亢進などの炎症所見を伴うことが多い。
【5】無症状から,B症状(発熱・盗汗・体重減少)まで自覚症状としては幅が広い。
緊急対応への判断基準
【1】Hodgkinリンパ腫で緊急対応を要することは少ない。
【2】巨大縦隔腫瘤による上大静脈症候群を呈している場合は緊急対応を要することがある。頭頸部や上肢の著明な浮腫や疼痛を伴う場合は,すみやかに専門医療機関へ紹介・転院させる。
症候の診かた
【1】リンパ節腫脹
❶頸部,鎖骨上窩や腋窩リンパ節腫脹を認めることが多い(約75%)。
❷典型的には,リンパ節は弾性硬(ガチガチでない)で圧痛や自発痛を伴わず,可動性良好(周囲の脂肪織や皮膚との癒着が乏しい)である。
【2】縦隔腫瘤(図1図)
❶縦隔腫瘤が増大すると上大静脈症候群をきたすことがあるため,頭頸部や上肢の浮腫や疼痛の有無を確認する。
❷上大静脈症候群に至らなくても,(縦隔腫瘤が重力で背側に下がり心臓や気管が圧迫されるため)仰臥位で増強する胸部圧迫感や咳嗽の有無の確認も重要である。
【3】B症状:発熱,大量の盗汗,体重減少のいずれかの症状を伴うことがある。
検査所見とその読みかた
【1】血液検査では白血球増多,リンパ球減少,好酸球増多,CRP上昇,赤沈亢進などの炎症所見を伴うことが多い。
【2】可溶性インターロイキン-2受容体は炎症によって上昇するため,高値であることをもって悪性リンパ腫と診断することはできない。あくまでも参考所見であることに留意する。
確定診断の決め手
腫瘍の組織生検による病理組織学的診断が必須である。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント