診療支援
診断

血球貪食性リンパ組織球症・血球貪食症候群
Hemophagocytic Lymphohistiocytosis (HLH) and Hemophagocytic Syndrome (HPS)
新井 文子
(聖マリアンナ医科大学教授・内科学(血液・腫瘍内科))

診断のポイント

【1】抗菌薬に反応しない原因不明の発熱の継続。

【2】血球減少。

【3】脾腫。

【4】特に15歳以上では続発性を考慮し基礎疾患を検索。

【5】続発性HLHの原因疾患を表1に示す。

緊急対応の判断基準

【1】急激に進行,悪化する可能性があるため入院管理とする。

【2】HLH診断後は,基礎疾患検索をしつつ,可及的すみやかに治療を開始する。

【3】播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)を併発することがあるため出血傾向に注意する。

症候の診かた

【1】発熱:95%以上の例でみられる。細菌感染症(結核を含む)を除外する。

【2】脾腫:89%以上の例でみられる。CTなど,画像診断で確認する。リンパ腫の検索にも役立つ。

【3】出血傾向:37%にDICを合併する。致死的となりうるため合併が判明したらHLHに対する治療に加えて輸血と凝固因子の補充療法を行う。

【4】意識障害:CT,MRIなど画像で,器質的疾患を除外する。腰椎穿刺を施行する場合は出血傾向に注意する。DIC合併の場合,腰椎穿刺は禁忌である。

検査所見とその読みかた

 HLHの診断のためには以下を検索する。

【1】スクリーニング検査:末梢血血球数を確認する。汎血球減少を認める。事項に記載する診断基準に当てはめる。

【2】骨髄検査:低侵襲で安全に施行できる。貪食像の確認とともに,悪性腫瘍,特にリンパ腫の鑑別に有用である。後述する組織型を念頭に検索する。

【3】追加血液検査:血液凝固検査で,フィブリノゲンの低下を認める。生化学検査ではフェリチン,中性脂肪の高値とともに,可溶性インターロイキン(IL)-2受容体を認める。進行するとDICを合併するためPT,APTT,FDP,Dダイマーを検索する。

【4】画像検査:CTもしくはPET-CTなどの胸腹部画像検索を行う。脾腫の有無とともに,感染

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